養育費や婚姻費用の金額の相場は
【養育費・婚姻費用算定表】や標準的算定方式を使って調べることができますが、
これは、個別事情を極力排除して、双方の収入のみから算定した金額になるので、
個別の事情を考慮したときに、不公平な金額になってしまう場合があります。
ここでは、養育費や婚姻費用が増額・減額になるものをいくつかご紹介します。
減額事由の一例
- 義務者(養育費・婚姻費用を支払う側)に扶養義務者が増えた場合
義務者が再婚したり、再婚相手との間に子どもができる(※1) など - 義務者が自宅を出て、権利者(養育費・婚姻費用を受け取る側)が
そのまま自宅に居住し、義務者が住宅ローンの支払いを継続している場合 - 未成熟子(経済的に自立していない子ども)が働くなどで一定の収入がある場合(※2)
- 義務者が婚姻費用・養育費の支払いのために借金をし、その返済を行っている場合
- 夫婦関係破綻の原因が権利者側にある場合
増額理由の一例
- 子どもが成年に達したため支払いを打ち切られたが、
大学進学などで学業を続けている場合(※2) - 教育費(授業料など)が標準的算定方式で考慮されているよりも多くかかっている場合
公立学校ではなく、私立学校へ進学した場合(※3) など - 未成熟子に高額な医療費が必要になった場合
※1
離婚から間もなく再婚して、連れ子を養子としたことで扶養義務者が増えた場合で、
義務者が(養育費などの支払額を)合意した時点で、再婚相手と交際し、
再婚を予定していたと推認できることから減額が認められないとした裁判例があります。
※2
成年に達した子どもの学費・生活費について、進学状況やアルバイトの状況、
奨学金の種類・金額など、様々な事情を考慮して判断すべきとした裁判例があります。
※3
義務者が事前に私立学校への進学を承認しているなどの事情が必要です。
現時点で、公立校・私立校のどちらへ進学するかわからない場合は、
公立校への進学を前提に合意し、「私立校へ進学した場合には、改めて協議する」
としておくことで紛争の発生を予防することができます。
婚姻費用が減額する(請求が認められない)具体例
妻が不貞行為を行ってそのまま家を出て行き、
不貞相手と同棲しながら、夫に婚姻費用請求を行っている場合
このような権利者側が不貞行為をしている場合、
婚姻費用の請求が権利濫用であるため、認められない可能性があります。
別居・離婚に至った経緯をお話しいただけないと、
単純に算定表に当てはめた「○○円を支払わなければならない。」としかアドバイスできません。
理由も分からずに、一方的に別居を切り出され婚姻費用を請求された場合などは注意が必要です。
まとめ
単純に算定表に当てはめた養育費・婚姻費用では、
権利者が受け取ることができる分が含まれていなかったり、
義務者が余分に支払ってしまう場合があります。
弁護士に相談することで、
権利者であれば、養育費・婚姻費用の増額事由が見つかったり
義務者であれば、養育費・婚姻費用の減額事由が見つかったり、
増額請求のリスクを知ることができます。
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、
養育費・婚姻費用について話し合うときや養育費・婚姻費用を請求する、
または請求されたときにはお気軽にご相談ください。