これまで、
をご紹介しました。
今回は、さいたま地方裁判所では、浮気相手に対して不法行為の成立を認められたが、
東京高等裁判所では、消滅時効を認めて慰謝料の請求が棄却された裁判例をご紹介します。
【概要・時系列】
さいたま地方裁判所の見解(平成17年2月28日)
妻がYと同棲したり、Yの子を出産したとの事情をもって、
直ちに夫と妻との婚姻関係が破綻したと認めることはできず、
上記事情に加え、別居から3年が経過したことにより、
平成14年6月末ころ、破綻するに至ったと認めるのが相当である。
として、平成13年5月から平成14年6月末までの同棲行為に対して、
不法行為の成立を認め慰謝料100万円を容認しました。
【補足】
『不貞行為への慰謝料請求の時効について』とのコラムを参考に
訴訟を提起する3年前(平成13年5月)よりも前の同棲行為は
時効により消滅しているため、慰謝料を請求できません。
(どの時点で夫が不貞行為の事実を知ったかは明記されていませんでした。)
そして、『すでに夫婦関係が破綻していた場合は
不法行為にならないとした判例』のコラムを参考に
夫婦関係が破綻した平成14年6月末以後は慰謝料を請求できません。
つまり、時効により消滅しておらず、夫婦関係も破綻していなかった期間に限り、
不法行為の成立が認められたということになります。
東京高等裁判所の見解(平成17年6月22日)
(以上の経過にかんがみると、)遅くとも(親子関係不存在確認の裁判が確定した)
平成12年9月2日には、夫と妻の婚姻関係は、完全に破綻したものと認められる。
として、消滅時効の完成を認め、夫の請求を棄却しました。
【補足】
夫が慰謝料を請求できるのは、時効により消滅していない
平成13年5月以後の同棲行為に対してですが、
それよりも前に夫婦関係が破綻していたとなると
平成13年5月以後の同棲行為は不法行為と認められません。
まとめ
どの時点で、夫婦関係が破綻した時期によって慰謝料の請求できる金額や
そもそも請求できるのかできないのかが変わってきてしまいます。
破綻時期は、明確な決まりはなくそれぞれの事情から判断されることになります。
弁護士にご相談していただくことで、夫婦関係が破綻していると認められるのか
認められないのかの参考になる過去の判例をご紹介できます。
とはいえ、時効により消滅する前に請求した方が確実ですので
不貞行為への慰謝料を請求したいときには、弁護士にご相談ください。
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、
お気軽にご相談ください。