不貞行為をされたときには、慰謝料を請求することができます。
しかし、慰謝料の請求には時効があるなど、気を付けなければいけないことがたくさんあります。
数回に分けて、不貞行為への慰謝料請求の注意点などを判例と合わせてご紹介します。
不貞行為(不倫)への慰謝料と法律
まずは、不貞行為への慰謝料請求について、
どのように法律で定められているのか確認しておきましょう。
【民法709条(不法行為による損害賠償)】
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
【民法724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)】
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が
損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
不法行為
不貞行為は、夫婦の「婚姻共同生活の平和の維持という権利」を侵害する不法行為です。
そのため、不貞行為をした者は損害を賠償する(慰謝料を支払う)責任を負います。
夫婦関係がすでに破綻していた場合には、「婚姻共同生活の平和の維持という権利」が
侵害されたとは言えず、不法行為にはなりません。(平成8年3月26日 最高裁判所)
詳しくは、次回のコラムにて解説します。
請求先
権利を侵害した者は、配偶者とその不倫相手になります。
両方またはどちらか一方に慰謝料を請求できますが、
配偶者と不倫相手の2人で及んだ1つの不法行為への請求となるので
どちらか一方から慰謝料を受け取ってからもう一方へ慰謝料を請求することはできません。
また、両方に慰謝料を請求したからと言って金額が2倍になるということもありません。
故意又は過失
不倫相手へ慰謝料を請求する場合には、
相手に配偶者がいることを知って不貞行為に及んだ(故意)または
相手に配偶者がいることを知らなかったことに落ち度(過失)がある必要があります。
「配偶者とは離婚する予定」と聞いただけで不貞行為に及んでいる場合は、
不倫相手に落ち度があるとして慰謝料を請求できる可能性があります。
また、故意と過失のどちらでも不法行為と認められますが、
慰謝料の金額に差が生じます。
時効
不貞行為のへの慰謝料請求する権利は不貞行為があったことを知ってから3年か、
不貞行為から20年のどちらか近い期日で時効により消滅してしまいます。
つまり、19年前に不貞行為があったことを知った場合、
慰謝料請求権の時効は3年ではなく、1年になります。
不貞行為の時効について、
当事務所池袋支店所属の弁護士 齋藤健博のインタビュー記事がありますのでご紹介します。
上記内容と重複している箇所もありますが、時効を延長する方法なども解説していますので
ぜひ、参考にしてみてください。
継続的な不貞行為の時効(平成6年1月20日 最高裁判所)
不倫相手と同棲をするような継続的な不貞行為の消滅時効の起算点について
原審では、同棲関係が終了したときを消滅時効の起算点としていましたが、
最高裁では同棲関係を知った時点を消滅時効の起算点とされました。
それでは、次のように
不貞行為の事実を知ってからもさらに2年間、不貞行為を継続されていて
不貞行為の事実を知ってから4年後に訴訟提起をした場合は
訴訟提起の3年前から同棲解消までの1年間分の慰謝料を請求できるのでしょうか。
このような場合については、必ずしも請求できるとは限らないことを知っておきましょう。
先述したように、夫婦関係がすでに破綻していた場合は、不法行為にはならないからです。
ですので、上図のような場合では、
不貞行為の事実を知ってから1年が経つよりも前に、夫婦関係が破綻していたときには
(「婚姻共同生活の平和の維持という権利」が侵害されたことに対しての)
慰謝料を請求することはできないでしょう。
まとめ
不貞行為への慰謝料請求の時効は3年しか無い上に、
あなたが離婚をしたい場合や、離婚したくない場合など対応方法は多岐にわたります。
ですので、不貞行為に気付いた時には早めに弁護士にご相談ください。
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、
お気軽にご相談ください。