【ゼロから学ぶ財産分与】 ~分与基準~

前回のコラム『【ゼロから学ぶ財産分与】基本編 ~財産分与とは~』で
夫婦の財産関係、財産分与の基本的な考え方を解説しました。

清算的財産分与の基本的な考え方である【2分の1ルール】ですが、
では、いつの時点の財産を2分の1で分割するのでしょうか?

今回は、財産分与の基準について解説していきます。

一般的な分与基準時

まずは、民法第768条にある「協力によって得た財産」について考えていきましょう。
通常、婚姻期間(婚姻してから離婚するまで)は、夫婦は協力関係にあります。

【民法第768条】
【第1項】
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる
【第2項】
前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は
協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を
請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
【第3項】
前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額
その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を
定める。

【民法第752条】
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

しかし、離婚前に別居していた夫婦の場合、すでに別居を開始した時点から
協力関係が失われていたと考えることができます。

そのため、実務では別居開始時の財産を財産分与の基準時とすることが多くなっています
ただし、単身赴任や病気療養、出産前後の里帰りのような夫婦関係が破綻していない別居
家計は一緒のままだった場合は、財産分与の基準時とはなりません

逆に、別居をしていなくても離婚成立よりも前に協力関係が失われていたと判断されれば、
その時点が財産分与の基準時となることもありますし、婚姻よりも前に、結婚を前提として
同棲し家計を一緒にしていれば、同棲開始から婚姻までの期間も含まれる可能性があります

財産評価の基準

財産の中には、株式や不動産など価値が変動するものもあります。
このような財産はどの時点の価値で財産分与をすればよいのでしょうか?
(もちろん、分割できるものは現物のまま分割したり、実際に売却して現金で
分割することもできます。)

基本的に、離婚時分与時)の価値で分割することになります。
裁判での離婚の場合は、訴訟の最終口頭弁論時とした判例があります。

最高裁判所 昭和34年2月19日】(裁判要旨)
裁判上の離婚の場合においては、訴訟の最終口頭弁論当時における当事者双方の
財産状態を考慮して、財産分与の額および方法を定めるべきである。

例えば、上図のように夫婦の協力によって住宅を4,000万円で購入し、
別居を開始した時点で経年劣化などにより住宅の価値が3,000万円まで下がり、
さらに、財産分与時には住宅の価値が2,000万円となっていたとします。

この状態で、どちらか一方が住宅を所有し続ける場合、住宅を所有する方が
もう一方へ代償金を支払うことになります。

このときに、別居時の住宅の価値を基準にしてしまうと、2,000万円の住宅を所有するために
1,500万円を支払わなければならないことになり不公平が生じることがあることと、
清算的な意味合いから価値が変動するものの財産分与の評価基準は基本的に
離婚時分与時)の価値になるのです。

【評価基準時が最終口頭弁論時とならなかった判例】

妻が主張した基準時(夫が財産を隠匿したと疑われる時期)から夫が主張した
基準時(最終口頭弁論時)までの間で株価が約3,500万円と大幅に下落していたという事案で、
お互いの主張した株価の平均値を評価額とした。
(平成16年6月18日 広島高等裁判所岡山支部)

不動産の評価方法

不動産の評価基準時は上記のとおりですが、不動産の価値の算定方法にも
様々な種類があり、その算定方法によっても評価額に違いが出てきます。

【不動産査定方法一例】

  • 固定資産税評価額
    3年に1度、固定資産税の額を算出するために、主に市町村が決定、公表している評価額
  • 路線価
    国税庁が毎年7月頃に発表する、路線(道路など)に面する宅地の評価額
  • 実勢価格
    (類似している物件の)実際に市場で取引されている価格(を参考にした評価額)
  • 鑑定評価額
    国家資格である不動産鑑定士によってが算出した評価額

このようにいくつもある評価方法からお互いが提示した金額をもとに
合意できる金額を模索することになります。

代償金を受け取る側(権利者)としては高い金額の評価を得たいと考えてしまいますが、
あまりにも双方の主張する金額に差があり、合意が難しい場合には、公正な立場から
新たに評価する(裁判所嘱託による不動産鑑定を利用するなど)ことも検討しなければなりません。

こうなると鑑定費用の負担が増える上に、主張した金額よりも低額で評価されて
代償金の金額も減額されてしまうという事態にもなり得るので注意が必要です。

まとめ

財産分与の基準は、実務では上図のように判断されることが多くなります。

次回は、婚姻期間中に得た特有財産のため財産分与の対象にならないもの
などについて解説していきます。

財産分与は、今回ご紹介した裁判例のように、分与基準時や評価基準について
当人たちだけでは話し合いがまとまらない場合があります。財産分与についてお困りでしたら、
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、お気軽にご相談ください。

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