給与以外の収入がある場合の養育費・婚姻費用は?【第3回:ローンと減価償却費】

前回、前々回のコラムでは、不動産収入が婚姻費用の算定に「含まれた判例」「含まれなかった判例」をそれぞれご紹介しました。最終となる今回は、収入から経費を差し引いて算定する場合の注意点をご紹介します。

ローンと減価償却費の違い

第1回のコラムで少しだけ解説しましたが、減価償却費とは、「時の経過等によってその価値が減っていく資産(減価償却資産)を、使用可能期間で分割した経費のこと」を言い、現実に支出を要するものではないことから収入から差し引かずに養育費・婚姻費用が算定されることが多く、一方、ローンについては、現実に支出されていることから収入から差し引いて養育費・婚姻費用が算定されることが多くなっています。

・東京家庭裁判所(平成27年9月28日)
不動産収入から控除されている必要経費のうち減価償却費◯◯円は,時の経過又は使用により価値の損耗又は減耗を生じる建物等についてその取得費用を徐々に費用化して配分するものであって,現実の支出を伴うものではないから,婚姻費用の前提となる収入を算定するに当たって,これを控除するのは相当でないというべきであり,同様の観点から,青色申告特別控除額△△万円を控除するのも相当でないというべきである。他方,税務上必要経費とされていない不動産取得のための借入金の元本分の返済については,現実に支出されていることから,少なくとも同返済額の一部については不動産収入から控除するのが相当である。

注意
住宅ローンの場合は、資産形成のための費用とみなされるため、別で考える必要があります。ローンを支払っている住宅に、自分が住んでおらず、相手方(と子供)が住んでいる場合は、住宅ローンの支払を考慮して婚姻費用の算定される場合がありますので、一度、弁護士にご相談ください

裁判例から見る減価償却費の扱い

こういった考え方がある一方で、減価償却費を収入に加算しないとした裁判例も存在するので合わせてご紹介します。

・大阪高等裁判所(令和4年2月24日)
原審申立人は、減価償却資産に係る必要経費算入額も事業収入として加算されるべきであると主張するが、各確定申告書の添付書類によれば本件病院に関して相当額の減価償却を考慮する必要があると認められるから、同主張は理由がなく、採用できない。

ただし、この裁判例は義務者(婚姻費用を支払う側)の収入が算定表の上限額(自営業収入:1567万円)の約4倍あったなど、特殊な事情があったことからこのような判断となったと考えられるので、基本的には、先述の「現実に支出を要するものではないことから収入から差し引かない」という方法で検討することになります。

別の裁判例は、原審では減価償却費を収入に加算しないと判断されましたが、抗告審では自営分の所得の計算方法が補正され、減価償却費については、借入金の返済金等、特別経費として考慮すべきものが存在していない限りは、収入に加算すると判断されました。

・千葉家庭裁判所(令和3年12月14日)【原審】
相手方の収入は,…年額144万4315円の公的年金と●●●業による収入の合計額であるところ,相手方の…確定申告書及び損益計算書によれば,●●●業による所得金額は31万9121円であるから,それに現実には支出されていない配偶者控除48万円,基礎控除48万円及び青色申告特別控除65万円並びに既に考慮されている生命保険料控除8万0328円を加算した約200万円が相手方の●●●業による収入額になると認められる。申立人は,減価償却費も現実に支出したものではないから加算すべきであると主張するが,採用しない(岡健太郎「養育費・婚姻費用算定表の運用上の諸問題」判例タイムズ1209号4頁)。そうすると,●●●業による相手方の基礎収入は,116万円(=200万円×58%)となる。
・東京高等裁判所(令和4年3月17日)【抗告審】
相手方は、…事業収入と、年額144万4315円の年金収入とを得ていたことが認められ、…確定申告書によれば、相手方の同年中の売上は382万6925円、差し引くべき売上原価及び経費の合計は285万7804円(うち減価償却費は63万2913円)、差引後の残額は96万9121円であり、同額から青色申告特別控除額65万円を控除した「所得金額」は31万9121円であり、同額から社会保険料控除12万0400円のほか、生命保険料控除、配偶者控除、基礎控除を控除して算出される「課税される所得金額」は0円であったことが認められる。
 そうすると、相手方の事業収入については、上記所得金額31万9121円に、現実に支出されていない青色申告特別控除額65万円及び減価償却費63万2913円(同申告書上、償却資産の取得のための借入金の返済金等、特別経費として考慮すべきものが存在することはうかがわれない。)を加算した160万2034円から、社会保険料12万0400円を控除した年額148万1634円と認めるのが相当である。また、上記のように算定した事業収入は、既に職業費に相当する費用を控除済みのものであるから、年金収入を事業収入に換算するに当たっても、…修正計算は必要ない。

まとめ

全3回にわたり、給与以外の収入がある場合の養育費・婚姻費用の算定方法についてご紹介しました。ご覧いただいて分かるように、給与以外の収入を含めた養育費・婚姻費用の算定は複雑になっていますので、養育費・婚姻費用でお困りの方は、初回の相談料は無料となっておりますので、当事務所までお気軽にご相談ください

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