これまで、【不適切な方法で連れ去られた子供を取り戻す方法】と
【子の引渡しを求める家事事件手続】をご紹介しました。
家事手続によって、子どもの引渡しが認められたにも関わらず、
相手方が引渡しを履行せず、強制執行も実現できなければ、
人身保護請求をすることができます。
今回は、子どもの引渡しの最終手段として位置づけられている
『人身保護請求』について解説します。
拘束の顕著な違法性
家事事件手続をせずに人身保護請求をするには、
拘束に顕著な違法性があると認めれる必要があります。
では、どのような場合に顕著な違法性が認められるのでしょうか。
ここでは2つの判例をご紹介します。
【最高裁判所 平成5年10月19日】
拘束に顕著な違法性が認められるには「幼児が拘束者の監護の下に置かれるよりも、
請求者に監護されることが子の幸福に適することが明白であることを要する」とされました。
【最高裁判所 平成6年7月8日】
調停委員会の面前でなされた合意に反して、子どもの拘束を継続し、
子どもの住民票を拘束者の住所に移転したなどの事情は
拘束に顕著な違法性があるものとされました。
子どもの代理人
人身保護請求を申し立てるとすぐに非拘束人(本件では子ども)に代理人(※1)がつきます。
子どもの代理人は裁判所によって選任されること(国選代理人)が一般的で、
選任後、子どもの意思、拘束状況などを確認して、裁判所へ意見を述べるなどの活動を行います。
(子どもの代理人と請求者の代理人が、同一の者である判例もあります。
《最高裁判所 昭和46年11月30日》)
子どもに国選代理人がついた場合、国選代理人の費用は
請求者が予納金として裁判所に納付します。
※1
人身保護規則31条により、
「被拘束者の代理人は、弁護士でなけらばならない。」とされています。
子どもの引渡し方法
人身保護請求での子どもの引渡し方法ですが、
まず、「人身保護事件の判決に基づく強制執行を否定した」判例
(東京地方裁判所 昭和47年12月20日)があるため、強制執行はできません。
ですので、実務では、
審問期日の開始時に、裁判所の職員が子どもを、
書記官室や警備員室などで預かり、判決言い渡し後に、
判決に従って、請求者または拘束者に子どもを引き渡すという方法を取っています。
拘束者が、審問期日に子どもを連れて来ない(人身保護命令に従わない)場合、
人身保護法18条により、裁判所は拘束者を勾引(強制的に裁判所へ連れて行く)などを
することから、上記の方法で子どもの引渡しをすることができます。
ただし、拘束者が審問期日に子どもを連れて来ずに、期日が延期することも
ありますので、一刻も早く子供を連れ戻すには、万全な準備が必要です。
まとめ
【不適切な方法で連れ去られた子供を取り戻す方法】にも載せていますが、
子どもの引渡しを請求する手続きの流れを図にまとめています。
今回は人身保護請求による子どもの引渡しを求める方法をご紹介しました。
子どもが不適法な方法で連れ去られた場合、迅速な対応が必要です。
また、人身保護請求は、原則として弁護士を代理人として請求しなければなりません。
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